「フィッシュ・ファクトリー」システムの開発及び「大学発ブランド水産種」の生産

事業目的

  1. 1. 水産業の世界動向と銚子水産業の現状

     近年、流通システムの発展と食文化の多様化に伴い、日常的な魚介類の食習慣が世界的に広がりつつある。さらに、魚介類由来の動物性タンパク質、EPAやDHAなどの成分が、疾病予防や健康増進に効果的であることが広く認識されてきたため、魚介類への関心が世界的規模で高まりつつある。このような背景から、養殖を除く世界の漁業生産量は年々増加し、1990年代後半に約9000万トンに達したが、その後頭打ちの状態となり、必然的に天然資源への漁獲圧の高まりとともに、漁獲漁業は限界を迎え、現在では世界の漁業生産量の半分以上が養殖で賄われている。
     このような状況下において、陸上養殖や加工・輸送に新たな技術を導入することによって、近年、乱獲や水圏環境の悪化に伴う漁獲量の減少から衰退の一途を辿っていた銚子の主幹産業である水産業に大きな可能性を秘めた産業となり、ひいては銚子市の復興と地域力の向上が見込まれる。このような試みは、これまで漁獲漁業に支えられてきた日本の水産都市に新たな可能性を提供し、水産分野における日本の国際競争力強化に資することが期待できる。
  2. 2.本学関連新技術の概要

     「好適環境水」(特許番号5062550, 4665252, 5487378, 4665258, 5487378, 5364874)は、水産生物の効率的陸上養殖を目的として開発された加計学園グループ共有特許技術であり、海水中に存在する元素のうち、対象とする生物に必要となる元素を最低限の濃度で調整した人工飼育水である。そのため、従来の人工海水に比べ、約10分の1のコストで生産することが可能となる。また、好適環境水の塩分は硬骨魚類の体液と同程度であるため、海水魚・淡水魚ともに飼育することが可能である。さらには、天然の海水や淡水とは塩分・成分ともに大きく異なることから、ある種の魚病を抑制することや、従来型の天然飼育水に比べ、飼育魚類の成長が促進される実験結果が得られている。また、本学と企業とで共同開発した「サメ肌抗菌シート」はアクリル酸系樹脂の表面をサメ肌状に加工したシートであり、表面上に存在する細菌群の走化性やバイオフィルムの形成を効果的に抑制できることから、鮮魚輸送等への応用が期待できる。
  3. 3.研究テーマ

     銚子市の主幹産業である水産業に好適環境水やサメ肌抗菌シート等の新技術を導入し、水産業を軸とした地域連携の発展と活性化を図る。具体的には、①「大学発ブランド水産種の陸上養殖技術開発」、②「鮮魚・活魚の安心安全・品質向上を目指した輸送・加工技術開発」に取り組む。①では、漁獲漁業を中心とする銚子水産業に新たな可能性が創出され、天然資源の減少に歯止めをかける産業体制が整うこと、②では、鮮魚・活魚をより安全に輸送する技術や、これまでに商品とならなかった水産物を商品化する新たな加工技術の開発を行うことで、現在主流となっている漁獲→加工→出荷というインフラがより強化されることが見込まれる。
     本学では平成28年度より、「好適環境水リサーチセンター」を開設し、本事業の遂行に万全を期する研究体制が整っている。これらを基盤として、次世代型陸上養殖技術を用いた「フィッシュ・ファクトリー」(魚類生産工場)のシステムを開発し、陸上養殖水産種として、ニホンウナギとモクズガニを「大学発のブランド水産種」として日本、世界に発信していく。
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